高知がん患者支援推進協議会,高知がん支援団体
hoge hoge hoge hoge hoge hoge
がん相談センターこうち(高知県委託業務)
サロンのご紹介(高知県委託業務)
スピリチュアル提供者の養成・派遣
患者会(一喜会)
土佐の夢話想(がん基金)
行事予定
ブログ
患者会(一喜会)

【母娘で闘う〈2〉-手術後も終わらぬ治療-】患者を生きる

2_pic告知の翌日から、抗がん剤の点滴が始まった。主治医の松浦紀美を医師は当初、週3回の点滴を2週間続ける予定だったが、白血球の減り方が激しく、1週間でやめた。
9月21日に手術。朝から始まり、午後4時半まで続いた。胃の4分の3と胆のうを摘出し、さらに近くのリンパ節二つも切り取った。
手術後、母の安岡佑莉子さんは松浦医師から「思ったよりがんが進んでいて、漿膜まで浸潤していると考えられます。組織診の結果を待ちましょう」と言われた。胃壁は5層の膜からなり、漿膜はその最も下の層にある。
松浦医師の言葉に、がんを切り取れれば治療が終わるわけではないのだと、佑莉子さんは思い知らされた。専門知識はなかったが、医師の口ぶりから楽観でき ないことは察せられた。だが、英子さんには「がんは初期で、切れば治る」と教えてある。不安な気持ちを必死で隠しながら、英子さんに接した。
10日ほどして、組織診の結果を松浦医師から聞いた。
「残念ですが、腹膜に播種が認められました。未分化の印鑑細胞です。たちの悪いがんだと考えてください」
胃壁に深く浸潤して穴を開けたがんが、胃の外の腹膜に飛び散っているということだった。こうなるともう、がん細胞が体のあちこちに転移している可能性が高い。
専門用語が交じった医師の説明を聞いても、佑莉子さんにはよくわからなかった。「治るんでしょうか」と聞くのが、精いっぱいだった。
「1年以内に再発する確率は80…いや70、いや、60%です」
松浦医師の言葉が頭の中をぐるぐる回る。自分の顔から血の気がうせていくのが、はっきりわかった。英子さんに悟られないようにするのが精いっぱいだった。
翌日から、また抗がん剤治療が始まった。体に負担がかかっても、残っているがん細胞を極力減らすことになった。白血球の数値が限界まで下がると点滴を中 止し、上がってくると再び点滴する。副作用の吐き気と下痢がひっきりなしに続き、英子さんの体重は34キロ台まで減った。

写真解説:松浦医師(左)と話す安岡佑莉子さん=高知市内で